川崎市郎兵衛商店 -美味しい干し芋を「知っている」-
干し芋は、茨城県が生産量の全国シェア約90%を誇る特産品ですが、その中でも県内の生産量の約70%を誇る生産地が、茨城県ひたちなか市です。多くの品種・量を世に送り出すこの地で、干し芋の「卸し問屋」として阿字ヶ浦で商いを行っているのが「川崎市郎兵衛商店」です。
太平洋を見下ろす高台に事務所を構える「川崎市郎兵衛商店」には、近辺で獲れる美味しくて新鮮な干し芋が集まります。
『私の父が商売として始めて、私で 2 代目になります。当時は自分たちで干し芋を作っていたりもしたのですが、問屋との両立がなかなか難しかったので、問屋に特化した形です。』
そう語るのは、「川崎市郎兵衛商店」の代表・川崎真司さんです。
『現在取引している農家さんは 50 軒くらいですね。ひたちなか市を中心に、昔から取引がある大規模農家さんもいれば、少量生産している農家さんもいて、規模は様々です。』
ひたちなか市の干し芋作り―
ではなぜ、ひたちなか市ではこれほどの干し芋作りが盛んなのでしょうか。
『原料いもが出来る土壌が良いと言われていますね。海から冷たい潮風も吹くこむ事で芋が甘くなる。この条件は、例えば那珂川を超えるとまた質や味が変わりますし、国道 6 号線を跨ぐとまた変わる。面白いですよね。ひたちなか市は本当に条件に恵まれているんだと思いますよ。ひたちなか近郊を中心に干し芋の品評会も行っていますけど、その条件の中でも味などに違いが出る、というのもまた面白い所です。』
干し芋の革命児「紅はるか」-
今回の商品ラインナップにも入っている、今大人気の品種「紅はるか」。一般的なさつまいもは焼き芋にしても糖度 50 度程度ですが、紅はるかの焼き芋は糖度 60 度にもなると言われています。
『紅はるかの特徴は、柔らかくて甘みが強い事です。そして色も良い。そういう強みを生かして、ここ 4~5 年で爆発的に広まりました。それまで主流だった「玉豊」という品種があるのですが、甘さはあるがほどほどで、尚且つ歯ごたえがあるのが特徴です。これは好みの問題で、「玉豊が良い」という方も根強くいらっしゃいますが、今は「紅はるか」が「スイーツのように甘い!」と人気ですね。東京のスーパーなどでは、「紅はるか」はまだそれほど流通していなかったりします。』
『そして今回のセット商品として、王道の「紅はるか」に、ちょっと変わった「紫いも」を選ばせて頂きました。特殊な芋で、取引のある50の農家さんの中でも1軒しか作っていない、非常に珍しい商品です。アントシアニンという成分が豊富で、眼精疲労などに良いと言われていますね(※諸説あります)。「紅はるか」ほどの甘みは無いですが、食べ比べて頂くにはとても良いと思います。』
ARISE GIFT では、甘み抜群・人気の「紅はるか」を丸干しと平の 2 種類、そして珍しい品種「紫いも」をセットでご用意致しました。
通販の実施に当たり―
『通販自体は昔一時期やっていた時もあるんです。ただやはり通販専用のスタッフがいたわけでもなく、どうしても本業の方に人を割かなければいけない事情があり、止めてしまったんですよ。でもその当時からリピーターの方も結構いらっしゃって、電話受付で対応していたりはしていたのですが、そういうお客様がいらっしゃるのならば、ネット通販は必要なんじゃないかと思い立ち、今回参加させて頂きました。』
ARISE GIFT は、大洗町を中心に商品を展開していますが、このような「通販したいけどリソースが足りない」という事業者の方のために、今後も県内の様々な商品の通販代行を手掛けていたいと思っています。
新名所「ほしいも神社」との関係—
昨年建立され、メディアにも大きく取り上げられた阿字ヶ浦の新名所「干し芋神社」は、「川崎市郎兵衛商店」からほど近い場所にあり、建立に大きく関わっています。
★ほしいも神社★
茨城県ひたちなか市阿字ヶ浦町 178 番地
TEL. 029-265-9533 / FAX. 0295-53-0889
※写真は「川崎市郎兵衛商店」川崎さんの奥様
『干し芋のひたちなか市の生産量は圧倒的ですけど、それでも色々な場所で生産されるようになりました。そうした時に「干し芋は茨城の名産だよ」という事のPRも兼ねて、シンボルのようなものが欲しいという話になりました。地元の誇りではないですが、そういったものですね。問屋・農家を中心に、商工会全体で話し合って、「よし、神社を作ろう!」となったわけです。』
『ヒントとしては、大子町の「蒟蒻神社」や埼玉の「さつまいも神社」など、各所で「地元の名産品を祭る」という情報がありまして、同じような考え方で、干し芋を祭って「ここが盛んな場所なんだよ」という形で布教のシンボルに出来れば、という話になりました。商工会の協力もあり、お陰様でメディアにも多く取り上げられまして、良かったなと思います。私は「発起人」ではないのですが、建設にあたって色々関わらせて頂いたので、非常に嬉しく思っています。』
阿字ヶ浦に寄られた際には、海だけではなく「ほしいも神社」で「ほしいもの」を念じて参拝されてみてはいかがでしょうか。
会社名の由来―
干し芋生産が盛んな阿字ヶ浦で問屋を営みつつ、地元の盛り上げにも一役かっている「川崎市郎兵衛商店」。『ウチで干し芋を作っている訳では無いですが、昔から地元で作られる美味しい干し芋農家を「知っています」。その美味しい農家から仕入れた商品の味には自信がありますので、是非一度食べて頂ければ』。
最後に、珍しい名前だったので、会社名である「川崎市郎兵衛商店」について伺いました。
『5代くらい前の先祖が「市郎兵衛」という名前で、いわゆる当時の屋号が残った形です。そのまま屋号を会社名にした流れです。昔は嫌いだったんですよこの名前。何か古臭いじゃないですか。でも今となっては「芋っぽくて良いかな」と思ってます。』
そう笑いながら語られるエピソードにも、干し芋名産の地の「伝統」を感じます。