マルイチ商店 -「歯が欠けてしまう」悩みを解決!ソフトタイプ干し芋-

『干し芋作りは約80年。さつまいもの栽培から考えるとその昔から取り組んでいます。今はパッケージングまで行う「第6次産業」として事業を行っています。』

そう語るのは、大洗町で農産物加工業を営むマルイチ商店で、将来的に会社を継ぐため農学を学ぶ大学生、鬼澤彩乃さんです。

「干し芋を食べて歯が欠けてしまう」ことへの課題解決-

 

マルイチ商店で販売している「ソフトタイプ干し芋」は、「大洗ブランド認証品」にも認定されています。人気の品種「紅はるか」を使用し、黄金色に輝き・従来よりも柔らかく・食べやすい干し芋になっているのが特徴です。

『ソフトタイプ干し芋の特徴としては、大きく2つあります。

 

①半生の状態であること

「ソフトタイプ」と銘打っておりますが、これはつまり「半生」の状態である、という事です。昔、半熟卵・半熟チーズなどを中心に「半熟・半生」の商品が流行した事がありまして、そこに目を付け、干し芋も半生にしてみたら美味しいんじゃないか、という発想から5~6年前に生まれました。

 

合わせて、干し芋は「食べている最中にお年寄りの歯が欠けてしまう」という問題も抱えており、柔らかくなることで、この課題もクリアできるのではないか?と進めた結果、お陰様で人気が出たという商品です。

 

②「焼き芋」のような黄金色であること

通常干し芋というのは乾燥しますので、ちょっと茶色っぽくなってしまうんです。しかし「ソフトタイプ干し芋」の場合は全くそうではなく、「焼き芋のような黄金色」になってることが特徴です。縁起物としてお歳暮やお祝い事などにもお使い頂いています。

パッケージング前の最終調整の様子

なぜこのような色になるのか?という点は、「企業秘密」という形にしておいて下さい(笑)』

 

若い人に、もっと農業に興味を持ってほしい-
「農業は楽しいよ」という事を発信していきたい―

将来的に家業を継ぐため、現在大学で農学を専攻している鬼澤さんには、若い世代全体に向けた「ある思い」を持っています。

 

『今、農業従事者にとっての目下の課題は「人材不足」です。農業は体力を使いますので、若い人にどんどん参加してほしいという思いが業界的にはあるのですが、「農業は苦しい」「儲からない」と言ったイメージが先行しているように感じています。もっと問題なのは、「そもそも農業に興味がない」ということでしょうか。私も農家の家柄ながら、子供の頃は何とも思っていなかったので、仕方ない面もあると思います。』

 

現在農業が抱える課題を整理し、自らが発信する事で「若い人に興味を持ってほしい」と、鬼澤さんは語ります。

 

『では、どうすれば若い人に農業に興味を持ってもらう事が出来るのか。そこを突き詰めていく中で、1つは私のような若い人間が農業をやってますよ、干し芋作ってますよ、農業楽しいですよ、という事を積極的に発信できたら良いな、と思います。今回の取材もその一つですが、今後も何かしら継続的に発信していきたいです。

 

「農業従事」のメリットとは―

 

『お話している情報発信とは別に、農業が楽しい・楽しくないは一つ置いておいて、農業の一番の良さは「食に困らない」事だと思います。昨今の情勢のように経済活動が滞ってしまったとしても、農業をやっていれば少なくとも「自分たちが食べるものは確保できる」というのは大きいと思います。

 

そもそも私が大学で農業を学ぼうと思ったきっかけは、東日本大震災です。大洗もかなりの被害がありまして、極端に言うと「生きる事」に余裕がなくなって、スーパーから食材が無くなりました。あの時、家にはサツマイモがあってああ助かった。生きられると小学生ながらに思ったんですよね。

 

また、それまで農業経験が無く「土も触ったことが無かった」という大学の友人がいるのですが、震災が起こって1週間くらいまともに食にありつけず、たまたまあった井戸水で凌いでいたらしいんです。それがきっかけで農業を専攻しようと思ったという人もいて、自然災害が起こった時に食べるものがあるって素晴らしいと改めて実感できました。』

 

東日本大震災は、様々な価値観が変わる出来事でした。今、新型コロナウイルス感染症の影響が続いていますが、このような「価値観の変化」が起こるタイミングだからこそ、改めて農業に対して興味を持つ人が増えて欲しいと、鬼澤さんは願っています。

 

『そして、農業従事の大きなメリットは、やはり「自分のペースで出来る」ということではないでしょうか。勿論台風などの災害時は対応に追われる事もあると思いますが、基本は「自由」だという所です。若い方は農業に対して悪いイメージを持っているという方も多いと思うのですが、実際やってみるとそんなことはなくて、自由にはやれるし、何より気分転換のような感じで自然と触れ合えるので、心が豊かになる仕事だと思っています。ぜひ少しでも興味を持って頂ければ私は嬉しいです。』

 

農林水産省がまとめる「農業労働力に関する統計」によると、令和2年段階での基幹的農業従事者の平均年齢は67.8歳と、かなりの高齢となっています。新規就農者の数も、ここ5年ほぼ横ばいを推移しています。

 

コロナ禍で人生を見直そうと思い立った方も多いのではないかと思いますが、是非これを機に「農業」に興味を持つ方が少しでも増える事を願ってやみません。

 

そんなマルイチ商店ですが、今後新しい工場が作られるとの事ですので、完成後にまた本サイトでもご紹介したいと思います。是非、新食感の「ソフトタイプ干し芋(紅はるか)」をお買い求めください。

お店情報