岩喜製綱 -モチモチ食感“小麦不使用麺”が生む可能性
『「岩喜製綱株式会社」として活動し始めたのが昭和31年です。はじめは農業用、具体的にはタバコの葉を干すためのロープを作っていましたが、ここ大洗は海の町という事で、漁業用のロープを作る事になりました。底引き船に使うロープですね。底引き網は海の底の魚を獲るため、海中に沈むよう、中にワイヤーが入っている長く重いロープです。』
そう語るのは、岩喜製綱の代表・村松惠子さん(写真左)です。現在は、村松壽晴さん(写真右)と夫婦で会社を営んでいます。
小麦不使用麺を作る―
そんな、代々「ロープ」に関する事業を営んできた「岩喜製綱」は、現在大洗で「小麦不使用麺」を作っています。
『漁業用ロープ製造での漁網作りの仕事は、社会経済の浮き沈み、漁業者の減少、加えて大手の会社の参入などがあり、需要が減って行きました。代々続いてきた家業ですけど、続けていく事は難しいという判断をしました。幸い、営業をしていた妹が規模を縮小して、この事業を引き継いでくれました。その一方、新たな事業として何ができるかを模索しました。この時期、食物アレルギーによる事故や給食が食べられずお弁当を毎日持参する児童などのニュースで話題になっていました。そういった方々のために、小麦不使用麺を社会に広げたいという思いで、小麦不使用麺の製造をスタートさせました。』
一念発起して始めた新事業ですが、全く違う業界への転身だったこともあり、様々な苦労がありました。
『そうして製造始めたのが4年くらい前になります。商品が「小麦不使用」という事もあり、まずはアレルギーを持たれている方がターゲットになります。そして昨今健康志向の高い方も多いことから、そういった方に向け国産原材料のみを使った商品も用意しました。そういった「必要としている方々」へ向けて商品を作ったは良いのですが、「商品自体を知って頂く手段」が無くて…。現在いくつかのECモールに出店はしているのですが、同業者も当然ながら居るので、後発で知ってもらう事の大変さを痛感しています。』
小麦不使用麺の特徴―
こだわりの小麦不使用麺は、ARISE GIFTにおいて下記パターンの商品を取り扱っています。
①グルテンフリー (小麦不使用) 麺 “ひかり”
大豆粉のみ米国産であり、その他の原材料は日本産を使用
②グルテンフリー (小麦不使用) 麺 “のぞみ”
全ての原材料を日本産に拘った商品
『小麦不使用麺は「峰泉庵」というブランド名で販売しています。まず「ひかり」ですが、「アレルギーを持った方たちに光を!」という想いで命名しました。「のぞみ」に関しては「最初がひかりだったので、次はのぞみしかない!」という形で決めました(笑)。』
「のぞみ」に関しては、前述の通り「健康志向」の高い方向けに、すべてを国産にこだわった商品です。そして、気になる「小麦不使用麺」の品質については大きな自信を持っています。
①麺の食感:もちもちしてコシのある歯ごたえ
『これまで一般的な「小麦不使用麺」を食べた事がある方で、もしかしたら「歯ごたえが無い」「味がしない」と言った経験がある方もいらっしゃる方も多いかと思いますが、そうならないよう弊社はこだわりました。弊社は大豆たんぱくを固める事で麺を作っており、米粉と甘藷(さつまいも)と大豆の比率を試行錯誤しながら改良し、コシと歯ごたえを持つ麺を実現しています。』
②30秒で茹で上がる!
『麺を冷凍のまま沸騰水に投入し約30秒で茹で上がることから、調理時間を大幅に短縮することが可能です。』基本パスタ麺として考えているそうですが、そう考えると驚異的な早さです。
③無添加&健康志向の高まりへの対応
『麺の中に、バナナスターチを配合しているのが特徴です。これは難消化性デンプンとも言われていて、小腸で吸収されずに大腸に届く。このためでんぷんでありながらエネルギーになりにくく、整腸作用や生活習慣病の予防効果があるとされている食品中の成分であり、食物繊維の一種です。』
『そしてもう一つ、「モリンガ」を配合した「のぞみ」を製造しています。「モリンガ」とは今話題のいわゆる「スーパーフード」の一つで、ミラクルツリーとも呼ばれています。バランスのとれた豊富な栄養素を含んでいるその樹木の葉っぱを、「のぞみ」に配合しています。モリンガ自体には抹茶のような苦みがあるのですが、そこはバランスを考えて商品化し、あまり苦味を感じさせないように仕上げています。ただ厚生労働省からは、妊娠時のモリンガ摂取について注意が喚起されていますので、お忘れなく。』
※「モリンガ」に関する厚生労働省の注意喚起は こちら
望まれている方に、商品を知ってもらいたい-
健康志向の高まりや小麦アレルギーのお子様がいる家庭向けのグルテンフリー商品の需要が高まっている中、そのような需要のある方に向け、とにかくまずは商品を「知ってほしい」という想いがあります。
『例えば、商品を知って頂くという点においては、大洗町内のキャンプ場にご協力頂き、地場の食材と掛け合わせた「キャンプ飯」を販売して頂いています。』
『県が主体となり「地場産の食材を使ったキャンプ飯を作ろう」というような動きがあり、大洗サンビーチキャンプ場と連携して、大洗名物の釜揚げしらすや大和しじみを使った商品を作り、「大洗サンビーチキャンプ場」と「夕日の郷 松川」のキャンプ場で販売しています。このように、新しいチャレンジをどんどん行っていきたいですし、「こんなものが欲しい」という要望やニーズがあれば、対応してゆきます。先ずは是非一度、食して頂きたいですね。』
小麦不使用麺の様々な可能性―
『麺に関しては、基本的にはパスタ麺として考えていますが、例えば焼きそばやラーメンにしても美味しかったという意見を多くの方々から頂いています。使い勝手が良く、健康にも良いという特徴の万能麺ですので、今後は近場を中心に飲食店の方にも仕入れの相談に伺いたいと思っています。また、例えばこの記事をご覧になって「仕入れてみたい」と思った業者さんや飲食店の方がいらっしゃれば、是非ご一報下さい。』
早速、私・ARISE GIFTの廣岡も色々なメニューに挑戦してみました。ラーメンとしてもとても美味しく頂け、またARISE GIFTで販売している「にんべんいち」のしらす×飯岡屋水産の「粒ウニ」を混ぜたパスタを作ってみましたが、これが本当に美味しかったです。ソースなどにもよく絡む、本当に良い品質の麺です。
こんな組み合わせもオススメです!
『皆様を少しでも健康にすることができる、そして例えばアレルギーの方が家族の方にいたとしたら、安心して皆さんで一緒に同じ食卓を囲める、それを目指して頑張っていきたいと思います。宜しくお願い致します。』
13年の単身赴任を経て大洗町に帰り、『残りの人生を妻が立ち上げた事業の成功に注力する』と語る壽晴さんと共に、二人三脚で駆け抜ける岩喜製綱の新たな挑戦は続きます。
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別の記事で、レシピ集を掲載しています。是非ご覧下さい。
レシピ集:https://www.arise-gift.jp/article/798/